バンクアートってなに?という感じですが、バンクはバンクでも、銀や川岸という意味のbankではなく、綴りはbunk。日本語では、戦争中に敵の攻撃から守るための施設「掩蔽壕」。正直、日本語の方が馴染みがないですが。。。
ロシア語の「トーチカ」とも呼ばれていて、1976年以降から作られ出したこのコンクリート製のトーチカは、当時のアルバニア国内に50万以上あり、現在は使用はされていないものの、いまだに多くのトーチカが存在しています。
というのも、当時は敵から身を守ることだけを考えていたため、かなりの労力を要する”取り壊し”という作業なんて考えていませんでした。
そのトーチカを使って当時の様子を再現したのがバンクアート。
ティラナ市内にあるのがバンクアート2で、市内からバスで約30分ほど北東に上がったところにあるのがバンクアート1。
私たちは、まず市内にあるバンクアート2を訪れました。
雪で作るかまくらのような見た目。そこの入り口から地下に入っていきます。
アルバニアの歴史はとても複雑でそう簡単に理解できないですが、長きに渡って様々な国から侵略、支配され、そしてその後、今の共和国に落ち着くまでは一人の独裁者によって舵を切られた社会主義国家となったのです。
国民の中にスパイが紛れ込んでいて、盗聴、監視は日常茶飯事だったようです。
ほうきの棒に盗聴器が仕込まれています。。。
そんなアルバニアの黒歴史を、包み隠すことなくこうやって公開することは、とても潔く思います。
これはマザー・テレサの名言
“自分が他人より優れていると思い始めた時、悪は根を下ろすのである”
(マザーテレサのお母さんがアルバニア人と言うこともあり、アルバニアにとって彼女の存在は大きいようです)
別日にバンクアート1へも足を運びました。ここは、市内からLinze行きのバスで向かいます。
バンクアート2より規模はかなり大きいです。
100メートル以上あるトンネルを抜けると、小さなチケットブースがあります。
チケット購入が必要な場合はここで購入できます。
私たちはバンクアート2で共通チケットを既に購入していたので、そのチケットを見せます。
左奥には軍基地があるので写真や動画は禁止。
チケットを購入してから、トーチカの入り口まで更に200メートルほど登ります。
程なくすると、公園のような広場が見えてきます。このすぐ奥が入り口。
ここの空気はなんだか不気味なんですが、バンクアートのデザインは可愛い。
敵からの様々な攻撃に耐えられるように作ったコンクリート製の扉、その分厚さが分かります。
ここは、社会主義国時代の独裁者エンヴェル・ホッジャの部屋。
ちなみに彼がアルバニアにあるトーチカを作るよう指示しました。
中国と結びつきが強い時代もあり、中国からの機器なども見受けられます。
施設内は、たくさんの小さな部屋が細い廊下で繋がっています。
廊下はなんだか刑務所のよう。
部屋に家具が置かれていると、一瞬ここがコンクリートで覆われた地下だと言うことを忘れられます。(現実逃避)
ここは、何かのイベントスペースでしょうか。公民館のようです。
アルバニアが共和国になってから、2022年でちょうど30年。まだ30年です。
首都ティラナを歩いていても、そんな歴史を一切感じさせないような洗練されたお店に、オシャレに着飾った人たち。以前の社会主義時代には鎖国をしていたなんて、一見信じられません。
この30年は彼らにとってどんな時間だったのか、とても興味深く思います。
このバンクアートは、もちろん感動したり心躍るような場所ではありません。
しかし、アルバニアというこの不思議な国を知る上では欠かせない場所です。
ここは出口です。
アルバニアの観光地はどこも媚びてないのが良い(笑)
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2022年2月23日時点の情報
・各入館料:大人500レク(約536円)/6歳〜16歳300レク(約321円)/6歳未満は無料
※バンクアート1と2共通チケットなら800レク(約857円)
・開館時間:9:00〜18:00
※バンクアート1は月曜火曜が休館日
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