太陽が傾いてきた夕方、ようやく観光へ出かけることにしました。
まずは、ゾロアスター教のファイアーテンプルと呼ばれる場所へ行ってみます。
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紀元前7世紀に生きたザラスシュトラが開いたゾロアスター教。
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今でこそあまり聞き馴染みのない宗教かも知れませんが、この宗教の最高神は「アフラ・マズダ」と呼ばれる太陽神で、あの自動車会社「マツダ」の社名の由来にもなっています。
これはゾロアスター教の象徴的存在のフラヴァハル。
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ゾロアスター教を調べていると必ず出てくるこのシンボル。彼らが大事にしている3つのもの、「善い思い」「善い言葉」「善い行い」を翼で表しているそうです。
ゾロアスター教では、世の中は「善と悪」で成り立っていて、その「善」を象徴するとされる「火」を聖なるもの考えています。そして、ここにかつてザラシュストラが点火したとされる火が今も灯されていて、それは教徒たちにとって大切な礼拝の対象なのです。
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ゾロアスター教の風習やしきたりについての展示もあります。
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写真の展示も地下にあります。
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観光客はボチボチ。ゆっくり見ることができます(笑)。
さて夕方になり、ようやく沈黙の塔へやって来ました。
夕方とはいえ、まだ暑かった。。。
観光客は私たち以外に1組ほど(笑)。
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ここまで来たからには登ります。
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丘の上に見える建物まで。
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ズルズル滑りつつ、なんとか頂上まで登ることができました。
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ここには塔が二つあり、もう一つの塔にも登ってみました。
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ここが、かつて鳥葬が行われていた場所。
頂上付近で、イラン人男性2人が話しかけてきました。
彼らは英語はほぼ話せませんでしたが、なんとトルコ語を話せるということで、私のカタコトのトルコ語で話すことに。
なぜ彼らがトルコ語を話せるかというと、彼らはイランのタブリーズという場所から旅行中で、このタブリーズではトルコ系言語のアゼリー(アゼルバイジャン語)が話されていますが、アゼリーはトルコ語ともかなり似ているのです。
彼らは自分たちをゾロアスター教徒だと言います。イラン人は、実は自分たちのことをイスラム教徒というよりゾロアスター教徒と認識している人が多いようです。
しかし、イランはイスラム教国。この沈黙の塔のようにゾロアスター教に関する施設にはお金をかけ維持しようとしない政府をあまりよく思っていないようでした。
以前、「イラン人は見た目はイスラム教の信仰心が強そうだが、中身は全くの逆」。一方、「トルコ人は、見た目は普通だが、中身は信仰心が強い人が多い」と聞いたことがあります。
今でもニュースになっているイラン人女性の被るヒジャブの問題。みんなとは言いませんが、被りたくないイラン人女性が多いし、それを支持する男性も多い。でも国がそれを許さない。
「イラン国民とイラン政府は全く別物だよ。」
イラン滞在中に、イラン人からよく耳にした言葉です。
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彼らとは出口で別れ、夜ご飯を食べに市内へ戻ります。
色んなイラン人と話すにつれ、今まで全く知らなかったイランが見えてくる気がします。