とある旅行記。〜トルコ編〜

・旅行記/Travel Memoirs

日本という国を世界地図で見てみると、スイカの種ほどの大きさしかありません。
だけど、そんな小さな日本にすら、古い歴史があり文化があります。
なんでも手に入る大都会があれば、時が止まってしまったんじゃないかと思うほどの静かな田舎もあります。同じ人種でもいろんな考えを持った人がいて、日々いろんな刺激を受けて生活できる国、日本。

だったら、そのスイカ以上ある大きさの海外では、一体どれほどの経験ができるだろう。

そう思った私は、ふと旅行に出かけようと思ったのです。
2010年7月のことでした。

この旅で、私はいろんな人と出会いいろんな体験をし、いろんな景色を見ました。月並みかもしれないですが、この度を通して私の頭には「一期一会」という言葉以外思い浮かびません。

日本の考えや生活というのは、世界からするとほんの一部にすぎなくて、決してそれが全てではない。日本の常識は決して常識ではない。そう思わされます。

これは、あくまで私が経験して私の心で感じたことです。
せっかくなので、文字にして残そうと思ったのです。


よければ、読んでみて下さい。

トルコでの話。(2010/7/16-7/22)


トルコ最大の都市イスタンブールの空港に着いて、予約していたバンに乗り込む。
案内係の男の子(推定18歳)が速攻で、
「君は美しい!」と一言。
トルコ人は本当に陽気。

イスタンブールに来て驚かされたことはたくさんありますが、日本人が好きというのは事実でした。
目が合ったら笑顔になってすぐ声をかけてくる、トルコ人。


「僕の親戚が日本に住んでるよ!」

これは、彼らのナンパの手口。これを聞いたら気を付けてください。

とはいえ、彼らの多くはただ日本人に話しかけたいだけ。
実際に日本に住んだことがある人も中にはいて、トルコには日本語がたくさん飛び交っています。

日本人の女性がトルコに来たら、モテたと勘違いするというのをよく聞きましたが、こんな分単位で声をかけられたら、「トルコ人男性、全員トリコにしたろかぁ。」と思ってしまいます。

冗談ですが、若い子からおじさんまで関係なく声をかけてくれます。
その声に1つ1つ耳を傾けていると、すぐそこのお店に行くにも20〜30分はかかります。
それが、イスタンブール。

泊まっていたホステル界隈。

ある日の朝、泊まっているホステルの近くにあるコンビニに水を買いに行きました。コンビニと言っても、日本にあるようなものではなく、5〜6畳ほどの大きさで、お菓子や飲み物、そしてちょっとした日用品が売られているようなものです。
店主の男性は30歳前後で、イスタンブールの街中で出会う積極的な男性と違って、少し寡黙な人でした。

私は水を片手にカバンから財布を取り出し、小銭をみると、一銭も入っていません。
それも当然で、イスタンブールでの初めての買い物がこの水になることをすっかり忘れていたのです。
両替はすでに空港で幾らか済ませていました。
私はお釣りが大量になるのを店主は嫌がるだろうなと勝手に思いながらも、それしか選択肢がないので、0.50リラ、つまり50クルシュのお水を払うのに10リラ札を出しました。
すると店主は、
「お釣りが無いから、いつでも小銭が出来た時に払いに来て!」と言って、私にお水を持たせてくれたのです。
想定していた反応と真逆の方向に行ったので、次の言葉がすぐ出てきません。
50クルシュは、日本円で約10円。私が出した10リラは、およそ190円。
いくら安くても、日本じゃそんなの考えられません。

ここは泊まっていたところから近い場所だしまた来れると思ったので、
「ありがとう。近くに泊まっているから絶対来るね!」と言い、そのお店を出ました。

ここは、お金が一番大事じゃなくて、信頼が一番大事である国がしました。

人が人を助ける。アメリカにいた時にも感じましたが、その時以上に強いものをこの国では感じます。

イスタンブールは、トルコで一番大きくて栄えている都市ですが、野良猫や野良犬はそこら中にいて、猫に至っては驚きもの。イスタンブールに着いた初日からびっくりさせられました。
しかも、人に慣れているせいか、近づいても逃げないし、なんなら撫でてほしそうにもします。猫好きにはたまらない街。
ここにいる猫みんなが、食べ物や飲み物に不自由なく、のんびり暮らしていて欲しい、そう感じました。

人馴れした街中の猫ちゃん

そういえば、イスタンブール初日の夜に、泊まっていたホステルの屋上にあるバーで、水タバコにチャレンジしたのです。
その日の夕方、たまたまトルコの友達から「水タバコは普通のタバコより強くて危険だよ」と聞かされていたので正直怖かったですが、これも一つの経験ということで、吸ってみました。しかし怖がりな私は、2〜3口をただ口に入れただけに終わりました。
でも、”普通のタバコより危険”という意味は何となくわかった気がします。
匂いもフルーティで、タバコ独特のあの臭さが一切無いんです。
その美味しさや心地良さから、気を抜けば永遠に吸ってしまい、結果普通のタバコより害を体に取り入れてしまうのだろう、だから普通のタバコより危険と言っていたのだろうと、2〜3口吸って思ったのです。

いいトルコの経験にはなったと思います。

ここイスタンブールは、トラム、バス、車、バイク、そして歩行者が同じ道路を行き交う、なんとも挑戦的な場所です。道路を渡るだけで一苦労。
現地の歩行者たちは、車がすぐそこに迫っているのに、平気な顔をして渡ります。
車のクラクションは絶えずどこかで鳴っていて、車同士の距離もとても近いです。
日本だと「お、後ろの車、煽ってきてるな。」と感じるくらいの距離感です。

イスタンブール4日目。
雨が降りました。旅行中の雨は少し厄介ですが、この雨のおかげで涼しさを感じられたし、ちょうど良かったです。
イスタンブールの夏はちょうど日本の夏に似ていて、湿気で汗がつきもの。夜も寝苦しいです。昼間は日差しも強く、せっかく日本の夏から逃れられると思ったのに、少し残念。

イスタンブールには、マルマラという海がすぐ横に広がっていて、市内の交通手段の一つとして船があります。
ある日、そのマルマラの海岸で写真でも撮ってこようと思い、行ってみる事にしました。海が見えるまでの道中は、地元の人が小さなレストランで飲んでいたりご飯を食べていたり、昼寝をしている猫やケンカをしている猫がいたりと、なんだか下町のような雰囲気でした。
マルマラの海岸に着くやいなや、早速水着を着たトルコ人男性が声をかけてきました。何を言っているかわかりませんでしたが、明らかに写真を撮ってくれと言わんばかりにポーズを取っています。
トルコの人は、ある程度英語が話せます。特に観光客を相手にする仕事に就いている人は。
しかし、このマルマラ海峡で出会った彼は英語が全く話せないんです。
それにもかかわらず、よくあんなに会話ができたなぁと感心。
いや、ほぼボディランゲージでした。それでも伝わらない時は、持っていたペンと紙を使い、絵を描いて理解し合う。もっと絵が上手だったらなと後悔。

マルマラ海峡を走っていた巨大船

次の日、ホステルで知り合ったドイツ人のグンドゥラーと一緒に、バザールディストリクトへ行ってみる事にしました。(彼女の名前を覚えるのに2日かかった)
ここは、文字通りバザールでしたが、とても広くて多くの観光客も足を運ぶような観光地でもありました。日本語を話せる店員も多くいて、
「オイシイヨ〜。」「コレタベテッテ〜。」
と、なかなか上手に話しかけてくるのです。
最初は反応していましたが、結構しつこいので無視をしていたら、
「オイ!オバチャン!」と言われる始末。
(どこで覚えた!?)

バザールの入り口。ほぼ男性しかいません。

このバザールからホステルに帰る途中、バザールの熱気と夏の暑さにやられた私たちは、道端で売られているトルコアイスを食べる事にしました。
このトルコアイスを注文すると、すごいパフォーマンスをしてくれるんです。
彼らのパフォーマンスは、ユーモア溢れるもので、身近にこんな素敵なエンターテイナーがいるとは、なんて楽しい国なんだろうと思わされました。
彼らのパフォーマンスぶりは、トルコ人の気質そのものを表している気がしました。
人を笑顔にして、笑わせる。ウキウキもさせてくれる。
そんなトルコアイス、私たちの前には白人の男性2人が先に並んで注文をしていたのですが、彼らが値段を聞くと18リラというのです。日本円で約360円。
そして私たちの番になり、その金額を払おうとすると、「9リラ」だというのです。
大きさも種類も同じアイスで。逆の立場で値段を知ってしまったら納得できません。
しかしラッキーな事にそうではないので、グンドゥラーとニヤリとしてトルコアイスを口に頬張るのでした。

とある夜、ホステルのみんなが集まる「憩いの場」にいた時の話です。
私の他に、アメリカやスペイン、イギリスなど色んな国からの旅行客がいて、お互いの旅行話やトルコの体験談などを語り合っていました。
すると、私に市内案内を半日してくれたホステルの男性スタッフが、私にトルココーヒーを持って来てくれたのです。
「ありがとう。」と言い受け取り、1人お先に飲んでいました。
他の人にも順番に配るものと思っていたら、なんと日本人の私にだけ!

おいおいおい。贔屓が過ぎるねぇ。

この話を読んで、自慢話に聞こえていないか不安になりますが、トルコではもはやネタです。日本人女性としてイスタンブールにいくと、確実に特別扱いされるでしょう。

そして、私がこんな特別扱いをさせるのは、後にも先にも、ここイスタンブールだけです。。。

アヤ・ソフィアとブルーモスクが歓迎してくれます。

とある旅行記。〜ギリシャ編〜はこちら。

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